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表現と日常

あー日常の強さたるや!と私は度々言っている。
それはいろんな場面で思うのだけど、最初に強く感じたのは震災の時。ずっと揺れているような感覚やそれまで見えなかった世の中の嫌な部分が見えてしまって一日中もやもやそわそわと過ごしているつもりでも、どうでもいいような小さなストレスに負けてしまったりたかが10円高い自販機に引っかかったりそういう「日常」の強さに自分の中の繊細さが負けた時になんとも言えない悔しい気持ちと諦めとで、あー結局は日常の強さ!!って叫びたくなるのだった。

普段から絵を描くことでは生活ができない私は1日の大半が労働時間で、繁忙期には通勤時間も長いので半日以上家にいない。帰っても寝るだけみたいな生活の中でもなんとか絵を描く時間と体力を絞り出してぐいっと作品の中に入り込み、そのうち作品の内面で浸りながら気持ち良く描ける時間が訪れる。休日にはそういう時間が多くなるのでそうしていると明日から仕事なんて無理だ、、、と完全に現実から遠いところへ来てしまった気持ちになるんだけど、それでも朝起きると無心で淡々と支度をして満員電車に乗って仕事へ向かう。職場に着けば目の前のことを片っ端からこなしていくことや次々とやって来るストレスでつい数時間前の夢のような時間のことは薄らいでしまう。あー日常の強さって!

そうして今、コロナ感染症のせいでもうずーっと仕事のことも健康のこともすべてに不安で過ごしているはずなのに、同時進行で毎日「毎日」がやって来て「日常」に覆われていくんだもん。仕事の時間を短縮したところで接客をすれば嫌なお客さんも来るしPCを使えば突然フリーズするし、予定外の問題も出てくるし、そうやって意図せず日常に手も足も取られて身動きもできなくなっていく。

それでも絵を描くときには、拘束を強引に解いて無理やり日常を脱ぎ捨てて個の世界に入り込んでいく。表現と日常を繰り返しながら同時進行で進んで行くことが私にとって強さになればいいとも思っている。

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