Painter 野嶋奈央子 Naoko Nojima Blog > 2012 > 11月 > 20

11月 20th, 2012


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11月 12

禁欲的な作業

 

私の作品にはいつも大きな色面が入る。
先日初めて喋った人(油絵を描いている若い作家さん)に、圧塗りで絵具を乗せて動きのある部分は楽しそうだけれどもマットな色面を塗りつぶしている面はどうなんですか?と聞かれて、すごく楽しいと答えたら意外だなあという反応が返ってきた。

この大きな色面を作るようになったのは、元はといえば浪人時代に遡る。。。
飽きっぽい上に描くのが早い私は、描き込みすぎて全体がすべて同じトーン になってしまうのが失敗パターンだった。
至近距離的な描き込み癖があって、それはまさに当時の私の性格そのもの。
全体をザックリとらえるよりも各部分部分がそれぞれ気なってしまって、いい色味やマチエールが出来るとそれが全部大事になる。
それらがうまく繋がってバランスがとれれば成功、力が均一に入りめりはりがなくなると遠目で見た時に沈んでしまうのだった。

ある日、課題を用意した先生が休んでしまって教務係も適当にモチーフを準備をした日(よく考えたら酷い事態だけれど。)あまりに曖昧な課題の内容に苦戦して、いつものように全体を描いてから思い切って普段使わないビビッドな色面で、半分つぶした。

それが始まりだったと思う。

当時は圧塗りでナイフで描いていたので、どこをつぶすか決めずに全体に手をいれてから、気に入った箇所が点在する画面を、自分に「きれいな色味もマチエールもいつでもまた作れるから!」と言い聞かせながら思い切ってつぶす、という作業だった。
だからその頃の色面は、欲のままにガガーッと描いてからそれをぶっつぶすというすごく禁欲的な作業だったわけだ。

大学に入ってから筆で描くようになって絵具も薄くなって、作品の意味なんかを説明する方向になってからは、完全夜型で真夜中にいつも起きている生活だったので、ビビッドな色面=真夜中のワンルームの蛍光灯の光で目がさえている部屋のイメージ、という設定にしていった。

今では、マットに塗る際に変なマチエールが出来ないようになるべく画面を汚さずに塗る緊張感ある部分なので、心身共に調子の良い時でないと一気に塗れない特別な部分だったりする。
その塗りの気持ちよさというのは、思う存分にドリッピングしている時に近くて、なんならそのまま全面をただの塗りにしたい衝動にかられるぐらいに気持ちがいいのだ。

 

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