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喪服の人々

駅からうちへ向かう1本道が好きだ。
1本道の入口付近には、お寺、小さな池、三味線屋さん、クリーニング屋さん、その辺りを過ぎるとすぐに住宅地に入る。
静かなその1本道は、夜になると静か過ぎて人とすれ違うのは少し怖いけれど、天気のいい午後は青空と対照的に濃い影の落ちる風景がとてもいい。

その1本道入口から反れた方にお葬式などをする会場があるようで、ちょうどその辺りで喪服の人々とすれ違う事がある。

私は喪服の人々が、何人かで連れ立って笑顔で話ながら歩く姿がどうも好きなのだけれど、
それはたぶん同じ悲しみを抱えた人たちが、でもその瞬間生きていて、そして笑顔で時間を共有している感じが好きなんだと思う。

今年の春、おじいちゃんが亡くなってお葬式で集まったとき、うちの家系のわりにはわりと大往生だったのでそんなに辛い悲しみではなかった。
長い冬から春に向かう午後のあの日、親族が集まった待合室の窓から見えた風景は寂し気だけれど温かくて、なんとなく喪服の人々が笑顔で歩く姿をみかける時の気持ちに似ていた。

 

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