Painter 野嶋奈央子 Naoko Nojima Blog > 2011 > 10月

10月, 2011


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10月 11

詩と図書室と

ロシアの詩人の話を聞いて、すっかり忘れていた小学生の頃のことを思い出した。
ロシアでは詩や詩人の存在がすごく大事にされていて、小学校では詩の暗唱を必ずするという話だったけど、
そういえば私の学校でも担任が国語教師の時期に詩の暗唱をさせられていた。

子供の頃の私は勿論、漠然とその授業を受けていた。
しかも人前で喋るのが大っ嫌いで滅多に手を挙げて意見を発表しない子供時代の私にとって、
みんなに囲まれて立たされて詩を暗唱するなんて、今想像しても心臓がばくばくする。

それでも詩の授業は好きだったし、毎回暗唱用の詩を先生が選んで来るのを楽しみに待っていた。休み時間は、友達と喋ったり遊んだりもする一方で、時々図書室に1人で行って詩を読んでることもあった。
当時のお気に入りは、いわさきちひろのイラスト集に色んな詩がそえられた全集で、何度もそれを読んでたな。

私の作品ではタイトルについて言われる事が多い。
個展の時には詩のようなテキストを必ずそえている。
意識としては詩ではないつもりだったけど、今思うとあの頃の詩の授業の影響が大きいのかもなーと。

今なら先生に会って、あの頃の詩の授業が私にどんなに大きな影響を与えたのか、伝えられたらいいのにとも思う。無意識的に人に与えてる影響って計り知れないなとも。

今でもなんとなく覚えているのは、北原白秋の『落葉松』、中原中也の『冬の日の記憶』、草野心平の『蛙のうた』。
『冬の日の記憶』の暗く荒れた世界、『落葉松』の寂しい風景、『蛙のうた』の不思議なリズム、こうして何十年もたってるのに、詩の中の空気感を思い出せるんだからことばの世界ってすごいと思う。

そして授業で最も面白かったのは1行詩。
さっきネットで検索してわかったのだけど安西冬衛 の 『春』という詩らしい。

”てふてふが一匹韃靼海峡を渡って行った。”

この1行を巡って何時間もみんなが解釈を発表し合う授業だった。
先生、あの授業が大好きでした!

 

 

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